山川 信一

古典

《心の中に吹く秋風》

題しらす とものり あきかせはみをわけてしもふかなくにひとのこころのそらになるらむ (787) 秋風は身を分けてしも吹かなくに人の心の空になるらむ 「題知らず 友則 秋風は殊更身を分けて吹かないのに、どうして人の心が上の空になっているのだろ...
古典

《馴染まない妻》

題しらす かけのりのおほきみ からころもなれはみにこそまつはれめかけてのみやはこひむとおもひし (786) 唐衣慣れば身にこそ纏はれめ掛けてのみやは恋ひむと思ひし 「題知らず 景式王 唐衣を身に着慣れると身に体に纏わるだろうが、衣桁に掛けて...
古典

《理由説明》

返し なりひらの朝臣 ゆきかへりそらにのみしてふることはわかゐるやまのかせはやみなり (785) 行き帰りそらにのみして経ることは我がゐる山の風速みなり 「返し 業平朝臣 行き帰り空でばかり過ごしているのは、雲の私がいる山の風が激しいからな...