山川 信一

古典

《歌の演出》

あひしれりける人のやうやくかれかたになりけるあひたに、やけたるちのはにふみをさしてつかはせりける こまちかあね ときすきてかれゆくをののあさちにはいまはおもひそたえすもえける (790) 逢ひ知りける人の漸う離れ方になりける間に、焼けたる茅...
古典

《死ぬなら一緒に》

心地そこなへりけるころ、あひしりて侍りける人のとはで心地おこたりてのち、とへりければ、よみてつかはしける 兵衛 してのやまふもとをみてそかへりにしつらきひとよりまつこえしとて (789) 心地損なへりける頃、逢ひ知りて侍りける人の訪はで心地...
古典

《秋の気付き》

題しらす 源宗于朝臣 つれもなくなりゆくひとのことのはそあきよりさきのもみちなりける (788) つれもなくなりゆく人の言の葉ぞ秋より前の紅葉なりける 「題知らず 源宗于朝臣 冷ややかになってゆく人の言の葉こそが秋より前の紅葉だったのだなあ...