山川 信一

古典

《忘れ草に霜》

題しらす むねゆきの朝臣 わすれくさかれもやするとつれもなきひとのこころにしもはおかなむ (801) 忘草枯れもやするとつれもなき人の心に霜は置かなむ 「題知らず 宗于の朝臣 忘れ草が枯れるかもしれないかと薄情な人の心に霜は置いてほしい。」...
古典

《思い出になる前に》

題しらす よみ人しらす いまはとてきみかかれなはわかやとのはなをはひとりみてやしのはむ (800) 今はとて君が離れなば我が宿の花をば一人見てや偲ばむ 「題知らず 詠み人知らず もうこれきりと言って君が離れて行ってしまったら、我が家の桜を一...
古典

《落花と失恋》

題しらす そせい法し おもふともかれなむひとをいかかせむあかすちりぬるはなとこそみめ (799) 思ふとも離れなむ人をいかがせむ飽かず散りぬる花とこそ見め 「題知らず 素性法師 思っても離れてしまうだろう人をどうしよう。満足できず散ってしま...