山川 信一

古典

《初雁の声さえも》

題しらす きのつらゆき はつかりのなきこそわたれよのなかのひとのこころのあきしうけれは (804) 初雁のなきこそ渡れ世の中の人の心のあきし憂ければ 「題知らず 紀貫之 初雁が鳴き渡るように泣き続けているけれど・・・。恋仲の人の心の秋がつら...
古典

《秋の田の稲》

題しらす そせい法し あきのたのいねてふこともかけなくになにをうしとかひとのかるらむ (803) 秋の田の稲てふこともかけなくに何を憂しとか人の離るらむ 「題知らず 素性法師 秋の田の「稲」ではないが「往ね」という言葉も掛けないのに、何を嫌...
古典

《忘れ草の種》

寛平御時御屏風に歌かかせ給ひける時、よみてかきける そせい法し わすれくさなにをかたねとおもひしはつれなきひとのこころなりけり (802) 忘れ草何をか種と思ひしはつれなき人の心なりけり 「寛平御時御屏風に歌を書かせなさった時、詠んで書いた...