山川 信一

古典

《心の不思議》

題しらす よみ人しらす わひはつるときさへもののかなしきはいつこをしのふなみたなるらむ (813) 侘び果つる時さへものの愛しきはいづこを偲ぶ涙なるらむ 「題知らず 詠み人知らず すっかり生きる気力を失った時までも何か愛しいのは、どこを懐か...
古典

《恋の真相の厳しさ》

題しらす よみ人しらす あふことのもはらたえぬるときにこそひとのこひしきこともしりけれ (812) 逢ふ事のもはら絶えぬる時にこそ人の恋しきことも知りけれ 「題知らず 詠み人知らず 逢うことが全く絶えてしまった時に人が恋しいことも知ったのだ...
古典

《恋の見栄》

題しらす よみ人しらす それをたにおもふこととてわかやとをみきとないひそひとのきかくに (811) それをだに思ふ事とて我が宿を見きとな言ひそ人の聞かくに 「題知らず 詠み人知らず それだけを思うこととして。我が家を見たと言わないでくれ。人...