山川 信一

古典

《恋の恨み》

題しらす よみ人しらす わたつみのわかみこすなみたちかへりあまのすむてふうらみつるかな (816) 海神の我が身越す波立ち返り海人の住むてふうらみつるかな 「題知らず 詠み人知らず 海の私の身を越す波が立ち返り漁師が住むという浦見るように恨...
古典

《自己発見》

題しらす よみ人しらす ゆふされはひとなきとこをうちはらひなけかむためとなれるわかみか (815) 夕されば人無き床を打ち払ひ嘆かむためとなれる我が身か 「題知らず 詠み人知らず 夕方になると、人の無い床を払いのけて、嘆くためとなるであろう...
古典

《失恋の孤独》

題しらす 藤原おきかせ うらみてもなきてもいはむかたそなきかかみにみゆるかけならすして (814) 怨みても泣きても言はむ方ぞ無き鏡に見ゆる影ならずして 「題知らず 藤原興風 恨んでも泣いても言う人がいない。鏡に見える影でなくては。」 「(...