山川 信一

古典

《喪に服す人へ》

藤原忠房かむかしあひしりて侍りける人の身まかりにける時に、とふらひにつかはすとてよめる 閑院 さきたたぬくいのやちたひかなしきはなかるるみつのかへりこぬなり (837) 先立たぬ悔いの八千度悲しきはなかるる水の帰り来ぬなり 「藤原忠房が昔夫...
古典

《姉の死》

あねの身まかりにける時によめる みふのたたみね せをせけはふちとなりてもよとみけりわかれをとむるしからみそなき (836) 瀬を塞けば淵となりても淀みけり別れを止むる柵ぞ無き 「姉が亡くなった時に詠んだ 壬生忠岑 瀬を塞ぐと淵となっても淀む...
古典

《強い意志》

あひしれりける人のみまかりにける時によめる みふのたたみね ぬるかうちにみるをのみやはゆめといはむはかなきよをもうつつとはみす (835) 寝るがうちに見るをのみやは夢と言はむ儚き世をも現とは見ず 「親しく交際していた人が亡くなったので詠ん...