物足りなさ

廿九日、おほみなとにとまれり。くすしふりはへてとうそ白散さけくはへてもてきたり。こころざしあるににたり

問「こころざしあるににたり」から、「くすし」に対するどんな思いが読み取れるか、答えなさい。

薬師は、わざわざ屠蘇白散を届けてくれた。正月用でありがたい品である。感謝しているのだろう。ただ、それにしては、記述が短くあっさりしている。薬師はそれらを置いて直ぐに帰ってしまい、薬師とはこれと言ったやりとりが無かったのだろう。だから、「志あり」とは言い切っていない。つまり、「こころざしあるににたり」は、儀礼的、形だけで物足りないなあという思いを表している。

コメント

  1. すいわ より:

    そうですね、そう言われると書き手の心情が溢れでてくるような記述がありません。何だかお付き合い、と言うより腹の探り合いをしているようで気の毒になるくらいです。表面を取り繕って本心を隠して。都へ帰ったらいくつもの仮面を使い分けなくてはならない、と思ってしまうであろう書き手は政治向けじゃないのでしょうね。何が幸せかはその人の価値観によりますが。

    • 山川 信一 より:

      書き手は「~師」と呼ばれる人にあまり好意を持っていないようです。その地位に甘んじて真面目に仕事をしていない人が多いことを経験上知っているのでしょう。
      「一文字をだにしらぬものし」という言い方で、批判したこともあります。今も昔も沢山の「~師」がいます。「師」が付くと、偉くなったような気がするのでしょうか?
      しかし、生きて行くには、こうした「~師」とも折り合いを付けていかねばなりません。困ったものです。もちろん「教師」もその一人です。

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