2023-10

古典

《平凡さの効用》

題しらす 読人しらす わすらるるときしなけれはあしたつのおもひみたれてねをのみそなく (514) 忘らるる時し無ければ葦鶴の思ひ乱れて音をのみぞ泣く 「忘れられる時が無いので、葦の鶴のように思い乱れて泣いてばかりいる。」 「(忘ら)るる」は...
古典

《季節感の生かし方》

題しらす 読人しらす あさなあさなたつかはきりのそらにのみうきておもひのあるよなりけり (513) 朝な朝な立つ川霧の空にのみ浮きて思ひのある世なりけり 「毎朝立つ川霧のように空にばかり浮いて思いがある世であることだなあ。」 「朝な朝な立つ...
古典

《類推》

題しらす 読人しらす たねしあれはいはにもまつはおひにけりこひをしこひはあはさらめやは (512) 種しあれば岩にも松は生ひにけり恋をし恋ひば逢はざらめやは 「種があるから岩にも松は生えてしまうことだなあ。恋に恋を重ねたら、逢えないことがあ...