2023-10

古典

《漂い乱れる恋心》

題しらす 読人しらすおきへにもよらぬたまものなみのうへにみたれてのみやこひわたりなむ (532)沖辺にも寄らぬ玉藻の浪の上に乱れてのみや恋ひ渡りなむ「沖にも岸の近くにも寄らない玉藻のように浪の上に乱れてばかり恋い続けてしまうのだろうか。」「...
古典

《有り得ない話》

題しらす 読人しらすはやきせにみるめおひせはわかそてのなみたのかはにうゑましものを (531)速き瀬にみるめ生ひせば我が袖の涙の河にうゑましものを「速い流れに海松布が生えたなら、私の袖の涙の河に植えたいのになあ。」「みるめ」は、「海松布」と...
古典

《篝火の心》

題しらす 読人しらすかかりひのかけとなるみのわひしきはなかれてしたにもゆるなりけり (530)篝火の影となる身の侘しきはなかれて下に燃ゆるなりけり「篝火の影となる身が侘しいのは、流れ泣かれて下に燃えることであったなあ。」「なかれて」は、「流...