2023-05

古典

《共感に訴える》

人の花山にまうてきて、ゆふさりつかたかへりなむとしける時によめる  僧正遍昭ゆふくれのまかきはやまとみえななむよるはこえしとやとりとるへく (392)夕暮れの籬は山と見えななむ夜は越えじと宿り取るべく「人が花山にやって来て、夕方帰ってしまお...
古典

《技巧と真情》

おほえのちふるか、こしへまかりけるむまのはなむけによめる 藤原かねすけの朝臣きみかゆくこしのしらやましらねともゆきのまにまにあとはたつねむ (391)君が行く越の白山知らねどもゆきのまにまに跡は訪ねむ「大江千古が北陸地方へ下った餞別に詠んだ...
古典

《名と実》

藤原のこれをかかむさしのすけにまかりける時に、おくりにあふさかをこゆとてよみける つらゆきかつこえてわかれもゆくかあふさかはひとたのめなるなにこそありけれ (390)かつ越えて別れも行くか逢坂は人だのめなる名にこそありけれ「藤原惟岳が武蔵の...