2022-11

古典

第二百三十六段  権威主義の陥穽

丹波に出雲といふ所あり。大社をうつして、めでたく造れり。しだのなにがしとかやしる所なれば、秋の比、聖海上人、その外も、人数多さそひて、「いざ給へ、出雲拝みに。かいもちひ召させん」とて、具しもて行きたるに、各拝みて、ゆゆしく信おこしたり。御前...
古典

巻五・秋下 《嵐の意味》

これさたのみこの家の歌合のうた 文屋やすひて ふくからにあきのくさきのしをるれはうへやまかせをあらしといふらむ (249) 吹くからに秋の草木の萎るればうべ山風を嵐と言ふらむ 「是貞の親王の家の歌合わせの歌  文屋康秀 その風が吹くと直ぐに...
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第二百三十五段  空っぽの効用

主ある家には、すずろなる人、心のままに入り来る事なし。主なき所には、道行き人みだりに立ち入り、狐・梟やうの物も、人気にせかれねば、所得顔(ところえがお)に入り棲み、木霊などいふけしからぬかたちも、あらはるるものなり。又、鏡には色・かたちなき...