2022-09

古典

第二百十段  話題転換

「喚子鳥(よぶこどり)は春のものなり」とばかり言ひて、如何なる鳥とも、さだかに記せる物なし。ある真言書の中に、喚子鳥鳴く時、招魂の法をばおこなふ次第あり。これは鵺(ぬえ)なり。万葉集の長歌に、「霞立つ長き春日の」などつづけたり。鵺鳥も喚子鳥...
古典

《儚き万人の美》

題しらす よみ人しらす をりてみはおちそしぬへきあきはきのえたもたわわにおけるしらつゆ (223) 折りて見ば落ちぞしぬべき秋萩の枝もたわわに置ける白露 「折り取って見るなら落ちてしまうに違いない。秋萩の枝もたわわに置いている白露は。」 「...
古典

第二百九段  悪事への抵抗

人の、田を論ずるもの、訴へに負けて、ねたさに、「その田を刈りて取れ」とて、人をつかはしけるに、先づ、道すがらの田をさへ刈りもて行くを、「これは論じ給ふ所にあらず。いかにかくは」と言ひければ、刈るものども、「その所とても、刈るべき理なけれども...