古典 第六十八段 大根の兵士 筑紫に、なにがしの押領使などいふやうなるもののありけるが、土大根を万にいみじき薬とて、朝ごとに二つづつ焼きて食ひける事、年久しくなりぬ。ある時、館の内に人もなかりける暇をはかりて、敵襲ひ来りて囲み攻めけるに、館の内に兵二人出で来て、命を惜し... 2021.10.13 古典
古典 《桜が散ることへの寂しさと帰ってしまった友への寂しさ》 あひしれりける人のまうてきてかへりにけるのちによみて花にさしてつかはしける 貫之 ひとめみしきみもやくるとさくらはなけふはまちみてちらはちらなむ (78) 一目見し君もや来ると桜花今日は待ち見て散らば散らなむ ちらなむ:「なむ」は願望の終助... 2021.10.12 古典
古典 第六十七段 宮司の謙虚な考証 賀茂の岩本・橋本は、業平・実方なり。人の常に言ひまがへ侍れば、一年参りたりしに、老いたる宮司の過ぎしを呼びとどめて、尋ね侍りしに、「実方は、御手洗に影のうつりける所と侍れば、橋本やなほ水の近ければと覚え侍る。吉水和尚、 月をめで花をながめ... 2021.10.11 古典