古典 第六十一段 民間から入った宮中の習俗 御産のとき甑落す事は、さだまれる事にはあらず、御胞衣とどこほる時のまじなひなり。とどこほらせ給はねば、この事なし。下ざまより事おこりて、させる本説なし。大原の里の甑を召すなり。古き宝蔵の絵に、賤しき人の子うみたる所に、甑落したるを描きたり。... 2021.09.27 古典
古典 《逆説的表現》 題しらす よみ人しらす のこりなくちるそめてたきさくらはなありてよのなかはてのうけれは (71) 残りなく散るぞめでたき桜花ありて世中果ての憂ければ 「残り無くすっかり散ってしまうのが素晴らしいのだ、桜の花は。有り続けて、世の中はその果てが... 2021.09.25 古典
古典 第六十段 変人の高僧 この僧都、ある法師を見て、しろうるりといふ名をつけたりけり。「とは、何物ぞ」と、人の問ひければ、「さる物を我も知らず。若しあらましかば、この僧の顔に似てん」とぞ言ひける。 この僧都、みめよく、力強く、大食にて、能書・学匠、弁説人にすぐれて... 2021.09.24 古典