羅生門    芥川龍之介

 コロナ危機の中にも四月になり、うちの学校は再開されました。みんなマスクして、少し距離を置いて座っています。コロナウイルスは人間らしさを奪います。
 沢渡真登香先輩は、三月に卒業しました。卒業式には在校生は参加できず、卒業生と保護者と教員だけの寂しい式になりました。でも、文芸部の送別会はちゃんとできました。真登香先輩は、有名な女子大の日文に進みました。あたしの憧れの大学です。
 文芸部の班は再編制されました。うちの班は、班長は、高3になった武井若葉先輩です。そして、高1になったあたし(島田美奈子)と中3になった桐野美鈴までは一緒です。それに新しく高2の葵春菜さんが入りました。春菜さんは、中1からバスケット部に入っていましたが、膝に怪我をして続けられなくなったそうです。それで、もう一つ大好きだった文学を研究してみたくなったんだとか。さっぱりした性格の人で、読書量が半端じゃないので、どんな意見が出るか楽しみにしています。
 今度の作品は、芥川龍之介の『羅生門』です。『羅生門』と言えば、高1国語教材の定番中の定番。誠先生によると、国語の先生にとって一番教えやすい教材だそうです。すべてが理詰めに書かれているからなんだとか。
 まあ、授業は授業。あたしたちはあたしたち流に読んでいくつもりです。
 進め方は、毎回誰かが先生役になって問題を出します。みんなでそれに答えていきます。その時に気がついた問題があれば、それにもみんなで考えます。順番は、学年順です。最初は若葉先輩です。

コメント

  1. すいわ より:

    美奈子さん、中学卒業、高校入学おめでとうございます。美奈子さんは小学校入学前の春に東日本大震災があって、その時も入学式、出来たのでしょうか。この春も新型肺炎禍でままならない毎日、式典も通常通りに行えずお気の毒です。でも、共に学び合える仲間がいる。幸せですね。こんな時だからこそ、あの時こんな風に語り合ったねと言えるように学びましょう。私も皆さんと一緒に学ばせて頂きます。宜しくお願い致します。

    • 山川 信一 より:

      すいわさん、ありがとうございます。美奈子のような子が全国にいっぱいいます。でも、式とは何なのかを考えるきっかけにはなったんじゃないでしょうか?初めから式なんて無い国はいくらでもありますから。
      大切なのは儀式よりも、現に学ぶことです。さて、コロナウイルス影響で、多くの学校がまたしばらく休校になりました。
      その生徒たちが覗いても面白く学べるように「国語教室」を明日から授業を再開します。

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