古典

第三十九段 ~葬儀の恋~

昔、西院の帝と申すみかどおはしましけり。そのみかどのみこ、たかい子と申すいまそがりけり。そのみこうせたまひて、御はぶりの夜、その宮の隣なりける男、御はぶり見むとて、女車にあひ乗りていでたりけり。 いと久しう率(ゐ)ていでたてまつらず。うち泣...
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第三十八段 ~友~

昔、紀の有常がりいきたるに、歩きて遅く来けるに、よみてやりける。 君により思ひ習ひぬ世の中の人はこれをや恋といふらむ返し、 ならはねば世の人ごとになにをかも恋とはいふと問ひしわれしも 主語が省略されているけれど、当然「男」が主語である。「紀...
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第三十七段 ~浮気への不安~

昔、男、色好みなりける女にあへりけり。うしろめたくや思ひけむ、 われならで下紐解くなあさがほの夕影またぬ花にはありとも返し、 ふたりして結びし紐をひとりしてあひ見るまでは解かじとぞ思ふ「色好み」は、〈恋愛の情趣を解する・洗練された恋愛をする...