古典

第七段 ~センチメンタルジャーニー~

昔、男ありけり。京にありわびてあづまにいきけるに、伊勢、尾張のあはひの海づらをゆくに、浪のいと白くたつを見て、  いとどしく過ぎゆく方の恋しきにうらやましくもかへる浪かな となむよめりける。  ここまでの段から続けて読むと、「京にありわびて...
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第六段 ~解説の役割~

これは二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐたまへりけるを、かたちのいとめでたくおはしければ、盗みて負ひていでたりけるを、御兄、堀川の大臣、太郎国経の大納言、まだ下﨟にて、内裏へ参りたまふに、いみじう泣く人あるを聞きつけて...
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第六段 その二 ~草の露のようにはかない~

ゆく先おほく、夜もふけにければ、鬼ある所ともしらで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる倉に、女をば奥におし入れて、男、弓、胡簗を負ひて戸口にをり、はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、鬼はや一口に食ひてけり。「あなや...