古典

第四十七段 ~恋の駆け引き~

昔、男、ねむごろに、いかでと思ふ女ありけり。されどこの男を、あだなりと聞きて、つれなさのみまさりつついへる。 大幣の引く手あまたになりぬれば思へどえこそ頼まざりけれ返し、男、 大幣と名にこそ立てれ流れてもつひによる瀬はありといふものを  男...
古典

第四十六段 ~親友~

昔、男、いとうるはしき友ありけり。片時避らずあひ思ひけるを、人の国へいきけるを、いとあはれと思ひて、別れにけり。月日経ておこせたる文に、「あさましく、対面せで、月日の経にけること。忘れやしたまひにけむと、いたく思ひわびてなむはべる。世の中の...
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第四十五段 ~うぶな娘の恋~

昔、男ありけり。人のむすめのかしづく、いかでこの男にものいはむと思ひけり。うちいでむことかたくやありけむ、もの病みになりて、死ぬべき時に、「かくこそ思ひしか」といひけるを、親、聞きつけて、泣く泣くつげたりければ、まどひ来たりけれど、死にけれ...