古典

第四十六段 ~親友~

昔、男、いとうるはしき友ありけり。片時避らずあひ思ひけるを、人の国へいきけるを、いとあはれと思ひて、別れにけり。月日経ておこせたる文に、「あさましく、対面せで、月日の経にけること。忘れやしたまひにけむと、いたく思ひわびてなむはべる。世の中の...
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第四十五段 ~うぶな娘の恋~

昔、男ありけり。人のむすめのかしづく、いかでこの男にものいはむと思ひけり。うちいでむことかたくやありけむ、もの病みになりて、死ぬべき時に、「かくこそ思ひしか」といひけるを、親、聞きつけて、泣く泣くつげたりければ、まどひ来たりけれど、死にけれ...
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第四十四段 ~意味深長な関係~

昔、あがたへゆく人に、馬のはなむけせむとて、呼びて、うとき人にしあらざりければ、家刀自(いえとうじ)さかづきささせて、女のさうぞくかづけむとす。あるじの男、歌よみて裳の腰にゆひつけさす。 いでてゆく君がためにとぬぎつればわれさへもなくなりぬ...