古典

降って湧いた災難

私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、ふるさと。若いメロスは、つらかった。幾度か、立ちどまりそ...
古典

自分を追い込む

今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい...
古典

先生の話

誠先生がいつの間にか傍で話を聞いていた。そして、こんな話をしてくれた。「島田さんはよく「メロスほどの男」という表現に注目しましたね。これは明らかにメロスを肯定的に受け止めてもらいたい作者の意志の表れです。作者は、権威にひるむことなく立ち向か...