古典

「天使の十戒」

ルロイ修道士は大きな手を差し出してきた。その手を見て思わず顔をしかめたのは、光が丘天使園の子どもたちの間でささやかれていた「天使の十戒」を頭に浮かべたせいである。中学三年の秋から高校を卒業するまでの三年半、わたしはルロイ修道士が園長を務める...
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井上ひさし『握手』

井上ひさしの『握手』を扱います。これは読みやすい小説です。この作品が中学三年の教科書に入っていて、『少年の日の思い出』が中学一年の教科書に入っているのはおかしい。順序が逆です。とは言え、読みやすいからと言って学ぶべきことが少ないというわけで...
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作品の変更 ~『故郷』の取りやめ~

希望という考えが浮かんだので、わたしはどきっとした。たしか閏土が香炉と燭台を所望した時、わたしはあい変わらずの偶像崇拝だな、いつになったら忘れるつもりかと、心ひそかに彼のことを笑ったものだが、今わたしのいう希望も、やはり手製の偶像にすぎぬの...