古典 「土産は、えびフライ。」 えびフライ。どうもそいつが気にかかる。 ゆうべ、といっても、まだ日が暮れたばかりのころだったが、町の郵便局から赤いスクーターがやってきたときは、家じゅうでひやりとさせられた。東京から速達だというから、てっきり父親の工事現場で事故でもあったの... 2020.03.13 古典
古典 父っちゃのだし 父っちゃのだしというのは、父親の好きな生そばのだしのことで、父親はいつも、干した雑魚をだしにした生そばを食わないことには自分の村へ帰ってきたような気がしない、と言っている。 帰るなら、もっと早くに知らせてくれればこんなに慌てずに済むものを... 2020.03.12 古典
古典 ジャッコとザッコ けれども、そういう姉にしても、これから釣ろうとしている川魚のことを、いつもジャッコと言っている。分校の先生から、本当は雑魚というのだと聞いてきて、「ジャッコじゃねくて、ザッコ。」と教えてやっても、姉はジャッコと言うのをやめない。もう中学生だ... 2020.03.11 古典