古典 勇気が出ない下人 どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいる遑(いとま)はない。選んでいれば、築土の下か、道ばたの土の上で、饑死をするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば―... 2020.04.09 古典
古典 空模様 雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍の先に、重たくうす暗い雲を支えている。 今日は短い段落だ。春菜先輩はどう切り込んでくるかな?「ここで情景描写... 2020.04.08 古典
古典 Sentimentalisme 作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。ふだんなら、勿論、主人の家へ帰る可き筈である。所がその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町は一通... 2020.04.07 古典