古典

鶏の脚のような

老婆は、一目下人を見ると、まるで弩(いしゆみ)にでも弾かれたように、飛び上った。「おのれ、どこへ行く。」 下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞いで、こう罵った。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとする...
古典

いきなり飛び上がる

そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。そうして聖柄の太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。  春菜先輩の番だ。ここは下人の行為が書かれている。そこから心理を読み取るん...
古典

許すべからざる悪

下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に許すべからざ...