古典

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第二十四段 ~その四 悲劇~

いなむとしければ、女、 あづさ弓引けど引かねどむかしより心は君によりにしものをといひけれど、男かへりにけり。女いとかなしくて、しりにたちておひゆけど、えおひつかで、清水のある所にふしにけり。そこなりける岩に、およびの血して書きつけける。 あ...
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第二十四段 ~その三 男の歌~

あづさ弓ま弓つき弓年を経てわがせしがごとうるはしみせよといひて、  男は、男は女の優柔不断さを見逃さなかった。それを自分への愛の弱さと受け取った。歌の意味はこうなる。〈長年私があなたにしてきたように、今度はあなたがその男に誠実にしなさい。〉...
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第二十四段 ~その二 女の歌~

あらたまのとしの三年を待ちわびてただ今宵こそ新枕すれといひいだしたりければ、  しかし、女の歌には、甘さがある。もっと言えば、優柔不断である。「あらたまの」は「とし」に掛かる枕詞である。そして、「あらたまのとしの」が「三年」の序詞になってい...