古典

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第三十三段 ~優しい嘘なら要らない~

昔、男、津の国むばらのこほりに通ひける女、このたびいきては、または来じと思へるけしきなれば、男、 あしべより満ちくるしほのいやましに君に心を思ひますかな返し、 こもり江に思ふ心をいかでかは舟さすさおのさしてしるべき ゐなか人のことにては、よ...
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第三十二段 ~昔の女~

昔ものいひける女に、年ごろありて、 いにしへのしづのをだまきくりかへし昔を今になすよしもがなといへりけれど、なにとも思はずやありけむ。 「ものいひける」は〈情を通わせた・ねんごろになった〉。その女に、数年(「年ごろ」)経ってから歌を贈る。「...
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第三十一段 ~意外な恨み~

昔、宮のうちにて、ある御達の局の前を渡りけるに、なにのあたにか思ひけむ、「よしや草葉よならむさが見む」といふ。男、 つみもなき人をうけへば忘れ草おのが上にぞ生ふといふなるといふを、ねたむ女もありけり。  意味を取ってみると次のようになる。 ...