古典

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第四十五段 ~うぶな娘の恋~

昔、男ありけり。人のむすめのかしづく、いかでこの男にものいはむと思ひけり。うちいでむことかたくやありけむ、もの病みになりて、死ぬべき時に、「かくこそ思ひしか」といひけるを、親、聞きつけて、泣く泣くつげたりければ、まどひ来たりけれど、死にけれ...
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第四十四段 ~意味深長な関係~

昔、あがたへゆく人に、馬のはなむけせむとて、呼びて、うとき人にしあらざりければ、家刀自(いえとうじ)さかづきささせて、女のさうぞくかづけむとす。あるじの男、歌よみて裳の腰にゆひつけさす。 いでてゆく君がためにとぬぎつればわれさへもなくなりぬ...
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第四十三段 ~おこぼれに預かる~

昔、かやのみこと申すみこおはしましけり。そのみこ、女を思し召して、いとかしこう恵みつかうたまひけるを、人なまめきてありけるを、われのみと思ひけるを、また人聞きつけて文やる。ほととぎすの形(かた)をかきて、 ほととぎす汝(な)が鳴く里のあまた...