古典

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第四十九段 ~妹~

昔、男、妹のいとをかしげなりけるを見をりて、 うら若みねよげに見ゆる若草を人のむすばむことをしぞ思ふと聞えけり。返し、 初草のなどめづらしき言の葉ぞうらなくものを思ひけるかな  男は、妹が年ごろになって、たいそうかわいらしくなったことに気づ...
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第四十八段 ~待たされる~

昔、男ありけり。馬のはなむけせむとて、人を待ちけるに、来ざりければ、 いまぞしるくるしきものと人待たむ里をば離れずとふべかりけり  友人が国司になった。送別の宴を設けようと人を待っていたが、来なかったので、〈今こそ知りました、待つのが苦しい...
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第四十七段 ~恋の駆け引き~

昔、男、ねむごろに、いかでと思ふ女ありけり。されどこの男を、あだなりと聞きて、つれなさのみまさりつついへる。 大幣の引く手あまたになりぬれば思へどえこそ頼まざりけれ返し、男、 大幣と名にこそ立てれ流れてもつひによる瀬はありといふものを  男...