古典

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第五十二段 ~時節の贈り物~

昔、男ありけり。人のもとよりかざりちまきおこせたりける返りごとに、 あやめ刈り君は沼にぞまどひける我は野にいでて狩るぞわびしきとて、雉をなむやりける。  前段に引き続き、贈り物の話。「かざりちまき」は、色々の糸や笹などでもち米を巻いたもので...
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第五十一段 ~贈り物~

昔、男、人の前栽に菊植ゑけるに、 植ゑし植ゑば秋なき時や咲かざらむ花こそ散らめ根さへ枯れめや  男が女の家の植え込み(「前栽(せんざい)」)に菊を植えた折に詠んだ、〈こうしてしっかり植えるなら、秋が無い時は咲かないでしょうか、まあ、咲かない...
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第五十段 ~痴話喧嘩~

昔、男ありけり。うらむる人をうらみて、 鳥の子を十づつ十はかさぬとも思はぬ人を思ふものかは といへりければ、  朝露は消えのこりてもありぬべしたれかこの世をたのみはつべき また、男、  吹く風に去年の桜は散らずともあなたのみがた人の心は ま...