古典

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第二十六段 ~恋愛と友情~

昔、男、五条わたりなるける女をえ得ずなりにけることとわびたりける。人の返りごとに、 思ほえず袖にみなとのさわぐかなもろこし船のよりしばかりに  これも失恋にまつわる話。「え得ず」は〈得ることができない〉。(「え」は打消表現と呼応して、不可能...
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第二十五段 ~色好みの女~

昔、男ありけり。あはじともいはざりける女の、さすがなりけるがもとに、いひやりける。 秋の野にささわけし朝の袖よりもあはで寝る夜ぞひちまさりける色好みなる女、返し、 みるめなきわが身をうらとしらねばや離れなで海人の足たゆく来る 「あはじ」は、...
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第二十四段 ~その四 悲劇~

いなむとしければ、女、 あづさ弓引けど引かねどむかしより心は君によりにしものをといひけれど、男かへりにけり。女いとかなしくて、しりにたちておひゆけど、えおひつかで、清水のある所にふしにけり。そこなりける岩に、およびの血して書きつけける。 あ...