古典

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第八十五段 ~思いは積もる雪~

昔、男ありけり。わらはより仕うまつりける君、御ぐしおろしたまうてけり。正月にはかならずまうでけり。おほやけの宮仕へしければ、つねにはえまうでず。されど、もとの心うしなはでまうでけるになむありける。むかし仕うまつりし人、俗なる、禅師なる、あま...
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第八十四段 ~母への思い~

昔、男ありけり。身はいやしながら、母なむ宮なりける。その母、長岡といふ所にすみたまひけり。子は京に宮仕へしければ、まうづとしけれど、しばしばえまうでず。ひとつ子にさへありければ、いとかなしうしたまひけり。さるに、十二月ばかりに、とみのことと...
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第八十三段 ~御出家~

昔、水無瀬に通ひたまひし惟喬の親王、例の狩しにおはします。供に、馬の頭なるおきな仕うまつれり。日ごろ経て、宮にかへりたまうけり。御おくりしてとくいなむと思ふに、大御酒たまひ、禄たまはむとて、つかはさざりけり。この馬の頭、心もとながりて、  ...