古典

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第九十二段 ~勇気が出ない男~

昔、恋しさに来つつかへれど、女に消息をだにえせでよめる、 あしべこぐ棚なし小(を)舟いくそたびゆきかへるらむしる人もなみ  昔、恋しさにたえかねて、女のところに来ては帰ることを繰り返すけれど、女に恋文を贈ることさえ(「だに」)できず詠んだ、...
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第九十一段 ~惜春~

昔、月日のゆくをさへ嘆く男、三月つごもりがたに、 をしめども春のかぎりの今日の日の夕暮にさへなりにけるかな  昔、女が逢ってくれない上にいたずらに月日が過ぎゆくことまでも(「さへ」)嘆く男が、春の終わりの三月の月末の頃に、〈惜しむけれども、...
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第九十段 ~作意~

昔、つれなき人をいかでと思ひわたりければ、あはれとや思ひけむ、「さらば、あす、ものごしにても」といへりけるを、かぎりなくうれしく、またうたがはしかりければ、おもしろかりける桜につけて、 桜花今日こそかくもにほふともあな頼みがた明日の夜のこと...