古典

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第九十五段 ~歌の力~

昔、二条の后に仕うまつる男ありけり。女の仕うまつるを、つねに見かはして、よばひわたりけり。「いかでものごしに対面して、おぼつかなく思ひつめたること、すこしはるかさむ」といひければ、女、いと忍びて、ものごしにあひにけり。物語などして、男、 ひ...
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第九十四段 ~ゆるやかな関係~

昔、男ありけり。いかがありけむ、その男すまずなりにけり。のちに男ありけれど、子ある仲なりければ、こまかにこそあらねど、時々ものいひおこせけり。女がたに、絵かく人なりければ、かきにやれりけるを、今の男のものすとて、ひと日ふつかおこせざりけり。...
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第九十三段 ~身分違いの恋~

昔、男、身はいやしくて、いとになき人を思ひかけたりけり。すこし頼みぬべきさまにやありけむ、ふして思ひ、おきて思ひ、思ひわびてよめる、 あふなあふな思ひはすべしなぞへなくたかきいやしき苦しかりけりむかしもかかることは、世のことわりにやありけむ...