古典

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第九十八段 ~権力に媚びる~

昔、おほきおほいまうちぎみと聞ゆる、おはしけり。仕ふまつる男、九月ばかりに、梅の造り枝に雉をつけて奉るとて、 わが頼む君がためにと折る花はときしもわかぬものにぞありけるとよみて奉りたりければ、いとかしこくをかしがりたまひて、使に禄たまへりけ...
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第九十七段 ~賀の歌~

昔、堀河のおほいまうちぎみと申す、いまそがりけり。四十の賀、九条の家にてせられける日、中将なりけるおきな、  桜花散りかひ曇れ老いらくの来むといふなる道まがふがに  昔、堀川の太政大臣(藤原基経)という申す方がいらっしゃった(「いまそがりけ...
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第九十六段 ~呪い~

昔、男ありけり。女をとかくいふこと月経にけり。岩木にしあらねば、心苦しとや思ひけむ、やうやうあはれとも思ひけり。そのころ、六月の望ばかりなりければ、女、身にかさ一つ二ついできにけり。女いひおこせたる。「いまは何の心もなし。身にかさも一つ二つ...