古典

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第百十四段 ~誤解~

昔、仁和の帝、芹河に行幸したまひける時、いまはさること、にげなく思ひけれど、もとづきにけることなれば、大鷹の鷹飼にてさぶらはせたまひける、すり狩衣のたもとに書きつけける、 おきなさび人なとがめそかりごろも今日ばかりとぞたづも鳴くなるおほやけ...
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第百十三段 ~恨み言~

昔、男、やもめにてゐて、 長からぬいのちのほどに忘るるはいかに短き心なるらむ 昔、男が女と別れて、一人暮らしをしていて、〈長くもない命であるのに、愛した人を忘れるのは、あなたは何とも浅はかな(「短き」)心でいるのでしょうね。〉 この男が現在...
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第百十二段 ~非難~

昔、男、ねむごろにいひちぎりける女の、ことざまになりにければ、 須磨のあまの塩焼くけぶり風をいたみ思はぬかたにたなびきにけり 昔、男が熱心に言い寄り契りを結んだ女が、他の男に心を移してしまったので、〈須磨の漁師が塩を焼く煙が風を激しい状態に...