古典

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第百十七段 ~神をあはれと思わせ~

昔、帝、住吉に行幸したまひけり。 われ見ても久しくなりぬ住吉のきしの姫松いくよ経ぬらむおほん神、げぎやうしたまひて、 むつましと君はしら浪みづがきの久しき世よりいはひそめてき 昔、帝が住吉に行幸なさった。(その時にお供の男が帝の気持ちになっ...
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第百十六段 ~距離と時間~

昔、男、すずろに陸奥の国までまどひいにけり。京に思ふ人にいひやる、 浪間より見ゆる小島のはまひさし久しくなりぬ君にあひ見で「何ごとも、みなよくなりにけり」となむいひやりける。 昔、男がこれといったわけもなく(「すずろに」)陸奥の国までさまよ...
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第百十五段 ~賢い女~

昔、陸奥(みち)の国にて、男女すみけり。男、「みやこへいなむ」といふ。この女、いとかなしうて、うまのはなむけをだにせむとて、おきのゐで、みやこじまといふ所にて、酒飲ませてよめる、 おきのゐて身を焼くよりも悲しきはみやこじまべの別れなりけり ...