古典

古典

センス・オブ・ワンダー

昆虫少年だったかつての私にとって、センス・オブ・ワンダーは、まぎれもなくルリボシカミキリという小さなカミキリムシの青さだった。この青にはビロウドのように細かくさざ波がある。そして鉱物を思わせる輝きがあり、海に似た深度がある。あのフェルメール...
古典

微妙な喜びと、激しい欲望

今でも、美しいちょうを見ると、おりおり、あの熱情が身にしみて感じられる。そういう場合、僕はしばしの間、子供だけが感じることのできる、あのなんともいえない、むさぼるような、うっとりした感じに襲われる。少年のころ、初めてキアゲハにしのび寄った、...
古典

遊戯のとりこ

僕は、八つか九つのとき、ちょう集めを始めた。初めは特別熱心でもなく、ただ、はやりだったのでやっていたまでだった。ところが、十歳ぐらいになった二度目の夏には、僕は全くこの遊戯のとりこになり、ひどく心を打ちこんでしまい、そのため、ほかのことはす...