古典

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自分自身におびえながら

ちょうを右手に隠して、僕は階段を下りた。そのときだ。下の方からだれか僕の方に上がってくるのが聞こえた。その瞬間に、僕の良心は目覚めた。僕は突然、自分は盗みをした、下劣なやつだということを悟った。同時に、見つかりはしないか、という恐ろしい不安...
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四つの大きな不思議な斑点が僕を見つめた

胸をどきどきさせながら、僕は紙きれを取りのけたいという誘惑に負けて、留め針を抜いた。すると、四つの大きな不思議な斑点が、挿絵のよりはずっと美しく、ずっとすばらしく、僕を見つめた。それを見ると、この宝を手に入れたいという、逆らいがたい欲望を感...
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せめて・・・

せめて例のちょうを見たいと、僕は中に入った。そしてすぐに、エーミールが収集をしまっている二つの大きな箱を手に取った。どちらの箱にも見つからなかったが、やがて、そのちょうはまだ展翅板に載っているかもしれないと思いついた。はたしてそこにあった。...