2024-09

古典

《叶わぬ前兆》

題しらす いなはあひみぬもうきもわかみのからころもおもひしらすもとくるひもかな (808)逢ひ見ぬも憂きも我が身の唐衣思ひ知らずも解くる紐かな「題知らず 因幡あの人に逢えないのもつらいのも私の身からのことであるのに、それを思い知らずも解ける...
古典

《「憂し」から「恨み」へ》

題しらす 典侍藤原直子朝臣あまのかるもにすむむしのわれからとねをこそなかめよをはうらみし (807)海人の苅る藻に住む虫のわれからと音をこそ鳴かめ世をば恨みじ「題知らず 典侍藤原直子朝臣漁師が苅る藻に住む虫の私であるからと声を出して泣くのだ...
古典

《恋は憂し》

題しらす よみ人しらすみをうしとおもふにきえぬものなれはかくてもへぬるよにこそありけれ (806)身を憂しと思ふに消えぬ物なればかくても経ぬる世にこそありけれ「題知らず 詠み人知らず身をつらいと思うのに消えないものだから、このように歳月を送...