2024-08

古典

《泣き暮らす女》

題しらす 僧正へんせう いまこむといひてわかれしあしたよりおもひくらしのねをのみそなく (771) 今来むと言ひて別れし朝より思ひくらしの哭をのみぞ泣く 「題知らず 僧正遍昭 直ぐ来るだろうと言って別れた朝から物思いに毎日一日中泣いてばかり...
古典

《荒れた心》

題しらす 僧正へんせう わかやとはみちもなきまてあれにけりつれなきひとをまつとせしまに (770) 我が宿は道も無いまで荒れにけりつれなき人を待つとせし間に 「題知らず 僧正遍昭 私の家は道も無いまでに荒れてしまったことだなあ。冷たい人を待...
古典

《忘れられた妻》

題しらす さたののほる ひとりのみなかめふるやのつまなれはひとをしのふのくさそおひける (769) 一人のみながめふるやの妻なれば人をしのぶの草ぞ生ひける 「題知らず 貞登 一人だけで長雨が降るのを眺める古家の妻なので、人を偲んで忍草が生え...