2022-09

古典

第二百十六段  時頼の質素な暮らし

最明寺入道、鶴岡の社参の次(ついで)に、足利左馬入道の許へ、先づ使を遣して、立ち入られたりけるに、あるじまうけられたりける様、一献にうち鮑、二献にえび、三献にかいもちひにてやみぬ。その座には亭主夫婦、隆弁(りうべん)僧正、あるじ方の人にて座...
古典

《罪な花》

題しらす をののよし木 をみなへしおほかるのへにやとりせはあやなくあたのなをやたちなむ (229) 女郎花多かる野辺に宿りせば文無くあだの名をや立ちなむ 「題しらす  小野美材 女郎花が多く咲いている野辺にもし宿りをしたら、言われなく私は浮...
古典

第二百十五段  よい酒の飲み方

平宣時朝臣、老の後、昔語りに、「最明寺入道、ある宵の間に呼ばるる事ありしに、『やがて』と申しながら、直垂のなくてとかくせしほどに、又使来りて、『直垂などのさぶらはぬにや。夜なれば異様なりともとく」とありしかば、萎えたる直垂、うちうちのままに...