2022-08

古典

第二百三段  靫の作法

勅勘の所に靫(ゆぎ)かくる作法、今はたえて知れる人なし。主上の御悩(ごなう)、大方、世中の騒がしき時は、五条の天神に靫をかけらる。鞍馬にゆぎの明神といふも、靫かけられたりける神なり。看督長(かどのおさ)の負ひたる靫を、その家にかけられぬれば...
古典

《寂しさへの共感》

題しらす よみ人しらす あきはきにうらひれをれはあしひきのやましたとよみしかのなくらむ (216) 秋萩にうらびれをればあしひきの山下響み鹿の鳴くらむ 「秋萩に思いしおれているので、山の麓が鳴り響く状態で鹿が鳴いているのだろう。」 「うらび...
古典

第二百二段  神無月の言われ

十月を神無月と言ひて、神事にはばかるべきよしは、記したる物なし。もと文も見えず。但し、当月、諸社の祭なき故に、この名あるか。  この月、万の神達、太神宮へ集り給ふなどいふ説あれども、その本説なし。さる事ならば、伊勢にはことに祭月とすべきに、...