2021-11

古典

《春の綻び》

はるのうたとてよめる  そせい いつまてかのへにこころのあくかれむはなしちらすはちよもへぬへし (96) いつまでか野辺に心の憧れむ花し散らずば千世も経ぬべし 「春の歌と言って詠んだ  素性 いつまで野辺に心が奪われるのか。もし花が散らない...
古典

第八十三段   出世はほどほどに

竹林院の入道左大臣殿、太政大臣にあがり給はんに、なにの滞りかおはせんなれども、「めづらしげなし。一上(いちのかみ)にてやみなん」とて、出家し給ひにけり。洞院の左大臣殿、この事を甘心し給ひて、相国の望みおはせざりけり。「亢竜(こうりょう)の悔...
古典

《桜三昧》

うりむゐんのみこのもとに、花みに、きた山のほとりにまかれりける時によめる そせい いさけふははるのやまへにましりなむくれなはなけのはなのかけかは (95) 雲林院の親王の元に、花見に、北山の邊に罷りける時に詠める  素性 いざ今日は春の山辺...