古典 第八十五段 賢を学べ 人の心すなほならねば、偽りなきにしもあらず。されども、おのづから正直の人、などかなからん。おのれすなほならねど、人の賢を見てうらやむは尋常(よのつね)なり。至りて愚かなる人は、たまたまた賢なる人を見て、是を憎む。「大きなる利を得んがために、... 2021.11.26 古典
古典 《春の愁い》 題しらす よみ人しらす はることにはなのさかりはありなめとあひみむことはいのちなりけり (97) 春ごとに花の盛りはありなめど会ひ見む事は命なりけり なめ:「な」は、完了の助動詞「ぬ」の未然形。「め」は、推量の助動詞の已然形。 「春が来る... 2021.11.25 古典
古典 第八十四段 坊主らしからぬ僧都 法顕三蔵の、天竺にわたりて、故郷の扇を見ては悲しび、病に臥しては漢の食を願い給ひけることを聞きて、「さばかりの人の、無下にこそ心弱き気色を、人の国にて見え給ひけれ」と人の言ひしに、弘融僧都、「優に情ありける三蔵かな」と言ひたりしこそ、法師の... 2021.11.24 古典