古典 第四十六段 自ら号する 柳原の辺に、強盗の法印と号する僧ありけり。たびたび強盗にあひたるゆゑに、この名をつけにけるとぞ。 強盗:(がうだう)ごうとう。 法印:僧の最高位で僧正に相当する。 号する:称する。呼ぶ。 とぞ:ということだ。 「柳原の辺りに、強盗の法印と称... 2021.08.20 古典
古典 《家への土産にしたい》 山のさくらを見てよめる そせい法し みてのみやひとにかたらむさくらはなてことにをりていへつとにせむ (55) 見てのみや人に語らむ桜花手毎に折りて家づとにせむ 手毎:一人一人みんなの手。各々の手。 いへづと:家への土産。 「山の桜を見て詠ん... 2021.08.19 古典
古典 第四十五段 思い通りにならないあだ名 公世の二位のせうとに、良覚僧正と聞えしは、極て腹あしき人なりけり。坊の傍に、大きなる榎の木のありければ、人、「榎の木の僧正」とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木をきられにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよい... 2021.08.18 古典