2020-07

古典

往きてこれと遊ばん勇気なし

彼《かの》人々の嘲るはさることなり。されど嫉むはおろかならずや。この弱くふびんなる心を。 赤く白く面《おもて》を塗りて、赫然《かくぜん》たる色の衣を纏《まと》ひ、珈琲店《カツフエエ》に坐して客を延《ひ》く女《をみな》を見ては、往きてこれに就...
古典

母の手に育てられしによりて

彼人々は余が倶《とも》に麦酒《ビイル》の杯をも挙げず、球突きの棒《キユウ》をも取らぬを、かたくななる心と慾を制する力とに帰して、且《かつ》は嘲《あざけ》り且は嫉《ねた》みたりけん。されどこは余を知らねばなり。嗚呼、此故よしは、我身だに知らざ...
古典

人なみならぬ面もち

官長はもと心のまゝに用ゐるべき器械をこそ作らんとしたりけめ。独立の思想を懐《いだ》きて、人なみならぬ面《おも》もちしたる男をいかでか喜ぶべき。危きは余が当時の地位なりけり。されどこれのみにては、なほ我地位を覆《くつが》へすに足らざりけんを、...