古典 鈴索を引き鳴らし 余が鈴索《すゞなは》を引き鳴らして謁《えつ》を通じ、おほやけの紹介状を出だして東来の意を告げし普魯西《プロシヤ》の官員は、皆快く余を迎へ、公使館よりの手つゞきだに事なく済みたらましかば、何事にもあれ、教へもし伝へもせむと約しき。喜ばしきは、... 2020.06.30 古典
古典 大道髪の如きウンテル、デン、リンデン 余は模糊《もこ》たる功名の念と、検束に慣れたる勉強力とを持ちて、忽《たちま》ちこの欧羅巴《ヨオロツパ》の新大都の中央に立てり。何等《なんら》の光彩ぞ、我目を射むとするは。何等の色沢ぞ、我心を迷はさむとするは。菩提樹下と訳するときは、幽静なる... 2020.06.29 古典
古典 名はいつも一級の首にしるされたり 余は幼き比《ころ》より厳しき庭の訓《をしへ》を受けし甲斐《かひ》に、父をば早く喪《うしな》ひつれど、学問の荒《すさ》み衰ふることなく、旧藩の学館にありし日も、東京に出でゝ予備黌《よびくわう》に通ひしときも、大学法学部に入りし後も、太田豊太郎... 2020.06.27 古典