古典 第四十八段 ~待たされる~ 昔、男ありけり。馬のはなむけせむとて、人を待ちけるに、来ざりければ、 いまぞしるくるしきものと人待たむ里をば離れずとふべかりけり 友人が国司になった。送別の宴を設けようと人を待っていたが、来なかったので、〈今こそ知りました、待つのが苦しい... 2019.07.03 古典
古典 第四十七段 ~恋の駆け引き~ 昔、男、ねむごろに、いかでと思ふ女ありけり。されどこの男を、あだなりと聞きて、つれなさのみまさりつついへる。 大幣の引く手あまたになりぬれば思へどえこそ頼まざりけれ返し、男、 大幣と名にこそ立てれ流れてもつひによる瀬はありといふものを 男... 2019.07.02 古典
古典 第四十六段 ~親友~ 昔、男、いとうるはしき友ありけり。片時避らずあひ思ひけるを、人の国へいきけるを、いとあはれと思ひて、別れにけり。月日経ておこせたる文に、「あさましく、対面せで、月日の経にけること。忘れやしたまひにけむと、いたく思ひわびてなむはべる。世の中の... 2019.07.01 古典