古典 第四十五段 ~うぶな娘の恋~ 昔、男ありけり。人のむすめのかしづく、いかでこの男にものいはむと思ひけり。うちいでむことかたくやありけむ、もの病みになりて、死ぬべき時に、「かくこそ思ひしか」といひけるを、親、聞きつけて、泣く泣くつげたりければ、まどひ来たりけれど、死にけれ... 2019.06.30 古典
古典 第四十四段 ~意味深長な関係~ 昔、あがたへゆく人に、馬のはなむけせむとて、呼びて、うとき人にしあらざりければ、家刀自(いえとうじ)さかづきささせて、女のさうぞくかづけむとす。あるじの男、歌よみて裳の腰にゆひつけさす。 いでてゆく君がためにとぬぎつればわれさへもなくなりぬ... 2019.06.29 古典
古典 第四十三段 ~おこぼれに預かる~ 昔、かやのみこと申すみこおはしましけり。そのみこ、女を思し召して、いとかしこう恵みつかうたまひけるを、人なまめきてありけるを、われのみと思ひけるを、また人聞きつけて文やる。ほととぎすの形(かた)をかきて、 ほととぎす汝(な)が鳴く里のあまた... 2019.06.28 古典